物流用語 3PLとは? 

●前回は物流用語、特に現場で使用される専門用語(ターミノロジー)」につづいてふれた。今回は触れてはいけないパンドラの箱的、もしくは猫に鈴的な用語である「3PL」(Third Praty Logistics)を取り上げる。

もともと1980年後半に米国からやってきたこの「3PL」という概念であるが、ある日本の有名なEC物流のコンサルティング会社のコメントにも、日本における本来的意味の取り違いや解釈の間違いが多く、表面的な言葉だけが先行していることから、日本型「3PL」が定着するまでは、言及は避けたいとある。

これは、某大手の物流会社のHPにおいて、通常の物流委託(受託)業務でありながらも、これを堂々と「3PL」と謳っている現状と、それに倣って中小の物流会社が、猫も杓子も「3PL」と謳っているという、浅はかな状態があるからに違いないと筆者は考える。

3PLの定義とは?

3PL(third party logistics)とは荷主企業に代わって、最も効率的な物流戦略の企画立案や物流システムの構築の提案を行い、かつ、それを包括的に受託し、実行することをいいます。荷主でもない、単なる運送事業者でもない、第三者として、アウトソーシング化の流れの中で物流部門を代行し、高度の物流サービス。

(国土交通省のHPより)

●ポイントは第三者として、最も効率的な物流戦略を企画立案やシステムを構築し、物流全体を包括的に受託し、実行するという事である。

つまり、第三者自身は物流機能や設備をもっていなくてもよく、最もふさわしい物流会社などを選定・組み合わせ・インテグレートすればよいのである。アセットを持つ会社が業務を受託する事とは天と地の差がある。

しかし、おなじ国土交通省総合政策局貨物流通施設課の「米国の3PLビジネスに関する調査結果」によると、米国ミシガン州立大学、オハイオ州立大学、ペンシルヴァニア大学の研究発表をみる限り、当時(80年代?)米国においても定義のブレがあったようだ。

しかし、米国のロジスティクス業界は成熟速度は速く、現在では4PLもしくはリード・ロジスティクス・プロバイダー(LLP)という考え方もでてきており、そこから3PLを再定義しようとしている動きが出てきた。

では4PL、LLPとはいったい何か?

「4PL」とは、包括的なサプライチェーンソリューションの構築、統合、運営を行 う。フォースパーティ・インテグレーター(Forth Party Integrator)は伝統的なサー ドパーティ・ロジスティクス事業者を超える運営上の責任を負うことになる。4PL は、従来の3PLとは異なり、機能面での統合を行うこととなる。 

国土交通省総合政策局貨物流通施設課「米国の3PLビジネスに関する調査結果」から

LLPは3PLよりも顧客企業のビジネス領域に深く踏み込んだもので、3PLとして提供する物流のオペレーションや管理に加えて、顧客企業のSCM(サプライチェーン・マネジメント)戦略とロジスティクス企画やビジネスプロセス構築も支援する。


ダイヤモンドオンライン2016年 三井倉庫ロジスティクスの記事から
Copyright©2020 筆者撮影:記事の内容と写真は関係ありません。

●つまり、物流課題をより経営的側面からとらえ、荷主企業の利益貢献していくための手段として、物流機能のインテグレーターである3PL事業者をも包括し、荷主企業にとっての最適解を導き出すのが、4PLだという事である。

尚、上記引用にあるように、LLPは極めて4PLと意味が似ている。そのため、日本の物流業界では4PLという言葉は、3PLの延長線上に位置するように勘違いされることから、賢い物流会社はあえてLLPという言葉を使うところが多い。

それは冒頭に述べた、日本における3PLの意味の履き違いと誤用・乱用といった、低次元の混乱に巻き込まれない為であると筆者は考える。

●物流担当者の皆様においては、よもやこのような間違いは無いとは思う。しかし、もし自分の会社が3PLの意味を履き違えているようであれば、これは逆にチャンスであるとおもった方がよい。

より高次元のサービスを提供するという目的での「LLP」という概念や考え方があることを経営層に提案することで、自身の評価とプレゼンスを上げるきっかけを作れるかもしれないからだ。

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