昨今、RPA(Robotics Process Automation)という言葉をよく耳にするが、大型マテハンやロボティクスの導入など、物流業務を効率化するにあたり、どの業務がどういったマテハンによって自働化されるのかを解説する。そして、経営サイドからRPAの課題を与えられている物流担当者が、自社の作業工程に対して、より具体性をもった計画書を作成する上でのヒントになれば幸である。
実際には大型のものから小型のものまで、様々なマテハンが存在するが、それらが入庫から出庫に至る工程の中で、どのように位置づけられ且つ効果を上げられるかを、入荷から出荷のプロセスに合わせてチャートにした下記の図である。
※ただし、今回の説明はBtoCおよび小ロット多品種のBtoCおよびBtoBの物流を想定したものである。
【入荷】
●ICタグ:現在では10円を切るまで値段が下がり、最近では東レが5円前後のものを開発したことで、さらに実用化に近づいた。
効果:入荷検品の作業の省力化
課題:タグの取り付け費用の負担先は受益者負担が原則であるが、
メーカー側のメリットなのか、小売り側のメリットなのか
毎度毎度議論になるポイントである。
●自動倉庫:ここではノルウェー「AutoStore」ストレージ型。他にはルンバのようなマシンがスチール棚を作業員のところまで運搬するAGV型ハイラックにピッキングマシンを走らせて運搬するタイプ等がある。
効果:高密度の補完効率、入出庫における歩行距離の最小化
課題:商品の形状によって向き不向きがある。
導入コストが高い。
(それでも過去のマシンか比較すると随分安価になった)
※コストはケースバイケースなのでここでは割愛。
【付加作業】
●自動撮影機:EC通販では商品の物撮りが必要であるが、商品撮影の生産性をUPさせるのは非常に難しい課題である。
効果:撮影の自動化と効率化
課題:商品の形状によって向き不向きがある。
もちろん、物撮りのみでトルソー撮影やモデル撮影は不可。
【ピッキング・梱包】
●アームロボット:この数年、「つかむ」技術が猛スピードで進化しているが、作業は基本「ティーチング」といって、何度もサンプリングを繰り返して業務を覚えさせることが必要。近年では、デジタルカメラによる座標軸判断により独自で作業を覚え、修正する「ラーニング」ができるものも登場しているが、そのための“頭脳”となるシステムを用意する必要がある。
効果:人間の作業を代行→省人化および効率化
長時間の作業が可能→倉庫の24時稼働体制
課題:技術的に同じような形状の商品を“積む”作業、
いわゆるパレタイズが主。
“積み下ろし”いわゆるデパレや小さなもののピッキングは
まだまだ課題が多い。
<補足>現在は自立型協業ロボット(AMR)が登場し、人間より先に目的地に到着し、適切な商品の指示するものも登場している。
●自動梱包・自動ラベラー:これはすでにスタンダード化しているマテハンであるが、従来は箱のサイズごとにラインを設け、そのエンドに自動梱包機を配置していたが、現在では箱の高さを自由に調整できるものも登場してる。
効果:人間の作業を代行→省人化および効率化
長時間の作業が可能→倉庫の24時稼働体制
課題:当然であるが、すべての商品に適応しているわけではないため、
別途マニュアルレーンを用意しなければならない。
また、機械自体は非常に高価。
【出荷】
●自動ソーター:これもスタンダード化しているマテハンであるが、この機械を導入して効果を得るためは少なくとも1日数千件以上の出荷がないと効果は見込めない。そして意外にも、このソーターの効果を正しく理解している倉庫担当者は少ない。
効果:宅配物の方面別仕分け、サイズ仕分けにより宅配会社の負荷軽減
→宅配料金の価格交渉および値上げ抑制
出荷確定を同時に実施できれば、さらに交渉力が高まる。
課題:大型であるためにスペースを要する。また移動や撤去が困難。
★以上、社内プレゼンや導入計画の際のお役にたてば大変光栄である。