倉庫業務におけるRPAとは? その2

 今回はEC通販などのピッキング工程におけるRPAに話を限定する。この工程には、いくつかの代表的なマテハンが存在するが、それぞれの特徴と適応対象物を比較し、把握できるように一覧化した。

 今後、マテハンを導入する際にどのようなタイプのものを選択すべきなのか、そのヒントとなれば幸甚である。

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【DPS】

●もうどこのセンターでも一般的に使用されているデジタルピッキングシステム。点滅するライトに従って作業者が当該商品をピッキングする仕組み。移動とピッキングの両方を行うため作業負荷は高い。

●DPSはいわゆる”摘み取り方式”。反対のトータルピック後の”種まき方式”にはDAS(デジタルアソートシステム)やGAS(ゲートアソートシステム)といったものもある。あくまでもこの中での比較ではあるが、下記3つよりは安価なシステムである。

 

【シャトル型】

●いわゆる自動式ハイラック・ストレージロボットのことで、人間がリフトを操作するのではなく、シャトルロボットが該当するパレットを作業ステーションまで運搬する方式。その先の工程は、パレット上の商品を人間の手でピッキングする必要がある。

 

【AGV型】※Automated Guided Vehicle

●お掃除ロボのルンバのようなロボットが、スチールラックを持ち上げて指定の場所まで持ってくる。ピッカーの方向導線が短縮できる利点と、ラックに収まる限りは商品の形状にあまり制約がない。

●Amazonが買収したKIVA Systemも同様の形式。日本ではGROUNDのバトラーが有名。(かつて楽天がKIVAを買収しようとして失敗したという話はいつかどこかで・・・)

 

【ストレージロボット型】※ここではAutoStore

●強化プラスチックのビン(オリコンのようなもの)が何千ケースも積み重なっている状態のものを、ピッキングロボットが上部から指定されたビンを作業ステーションまでもってくる方式のもの。その先の工程は、人間の手でビンの中から当該商品をピックアップし、バーコードリーダーでデジタルチェックをする。

●取り扱い商品がコスメ(小物)であること、また多品種小ロットから大ロットであることから、圧倒的な高密度の保管効率と歩行導線の短縮化による作業性向上という視点から、このAutoStoreの導入に至った。

※なお、カタログ上のスペックは保管効率は通常ラックの4倍、ピッキングなどの作業効率は3倍と記載されているが、実質それに近いパフォーマンスを発揮している。

 

 実際、現在私が所属している百貨店のEC通販は、“百貨”というだけあって、まさに様々なものを取り扱っている。

 直近の私のプロジェクトではコスメの部分にした特化したRPAという明確な目的があったが、ピッキングにおける複数の代表的形式のマテハンを比較することで、選定の意思決定をスムーズに行うことができた。

 今回登場したマテハンは、規模の大小にもよるが、少なくとも数千万円~数億円の投資となる。したがって、単純にマテハンの機能だけではなく、導入の効果効用がどこに発生し、それがどういった形で投資回収ができるか(例えば省人化によるコスト削減など)といった綿密な計画を立てていただくことと、このRPA化をプロジェクト化し、社内の関係部署の協力を得られるような社内調整が重要である。

 そして、このマテハンが“鬼っ子”にならないよう、導入したことに意味があるように推進することも物流担当者の役目である。

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