利用運送の注意点 自社の内容を今一度チェック!

今回は利用運送業に関して、物流担当者の皆様が直面するであろう問題について深掘りします。今回の記事を参考に、まずは自分の会社の事業はどの利用運送にあたるのか、もしくは取次なのかを再確認しましょう。

●倉庫業や運送業を営んでいる企業、通販事業を実施されている企業は、自前でトラックなどを何十台、何百台抱えて事業をされている企業は少ないと思います。また、車両を抱えている企業であっても、コンテナ船や貨物航空を保有しているところは少ないでしょう。そういった場合には、この利用運送という方法を用いて、トラックやコンテナ船や貨物航空などの配送モードを使用した輸送・運搬・配送を実現させます。ここで一度、いくつかある利用運送の方法について整理してみましょう。

利用運送と取次の違いは?

国土交通省のHPから

Q2.貨物利用運送事業と貨物取次事業は何が異なるのか。

A2.貨物利用運送事業は荷主と運送契約を締結し、荷主に対し運送責任を負う事業ですが、運送取次事業は、荷主に対して運送責任を負うものではなく、他人(荷主)の需要に応じ、有償で、自己の名をもってする運送事業者の行う貨物の運送の取次ぎ若しくは運送貨物の運送事業者からの受取(運送の取次ぎ)又は他人(荷主)の名をもってする運送事業者への貨物の運送の委託若しくは運送貨物の運送事業者からの受取り(運送の代弁)を行う事業です。
なお、貨物取次事業は、平成15年より規制が廃止されています。

取次は、よく街のコンビニやお米屋で宅配便の取次を行ってますが、単純に荷主から受けたお荷物を運送会社に“取り次ぐ”行為です。よって、配送における責任は取次業者にはなく、配送業者にあります。また、取り次ぐにあたっての事務的な“手数料”を徴収することができます。(※あくまでも手数料であることに注意)なお、取次(貨物取次事業)は平成15年に規制が廃止されたので、第一種・第二種利用運送業のように登録申請もしは許可の必要がなくなりました。

国土交通省のHPのQ&Aの【参考】にもありますように、シェアリングエコノミーを意識した車両マッチングサービス(求車求貨)やインターネット通販での宅配利用についても言及しています。今の時代をきっちり反映した内容になっています。

貨物利用運送は第一種と第二種の違いは?

●貨物利用運送は第一種第二種に分かれます。これは一言でいうと

第一種貨物利用運送・・・全体の配送輸送の一部の手段を手配する場合

第二種貨物利用運送・・・全体の配送運送の一連の手段を手配する場合

これを具体例でいうと、

第一種A地点からB地点へ商品をトラックで運搬する。なお運送モードはトラックに限らず、貨物船、航空貨物も含まれます。

第二種は、A地点からB地点へ商品を送る際に、A地点へ「集荷」し、貨物船や航空便+トラック配送というように複数のモードを利用してB地点へ「配達」する場合などです。

例えば海外からの輸入にて現地の生産工場の引き取り(ExWork)から、海上運送、国内の目的地まで運ぶ場合などはこれに当たります。

そして、第一種、第二種ともに、この配送に独自の料金体系をもち、形として商売になっている(利益を得ている)場合に、この貨物利用運送業の登録もしくは許可が必要です。

「登録」と「許可」 について

●第一種貨物利用運送業は「登録」です。必要書類を管轄の運輸局に提出、つまり「申請」し、処分(処理)され、審査基準よる審査をへて登録に至ります。標準処理期間は書類が到達してから、つまり運輸局に提出してから、2~3ヶ月です。

●第二種貨物利用運送業は「許可」が必要です。必要書類は第一種とほぼ同じですが、ハードルが高いのは事業計画や集配事業計画の提出です。なお、標準処理期間は3~4か月です。

自分の会社はどれに当たるの?

●どんな業態であって、会社の「定款」に運送業に関係する内容の記載があれば、登録や許可に向けて進めることができますが、ない場合は「定款の変更」が必要で、株主総会での特別決議が必要ですから、まずは自社の定款に運送業に類する記載があるかを確かめてください。非常に重要なことです。なお、取次の場合は運送業にならないので、必要ありません。

最後に、実際の申請に当たっては、地元の運輸局の担当者に電話や直接お会いして詳細を確認することをお勧めします。意外に親切に説明をしていただけますし、相談にも乗ってもらえます。

次回は、既に登録もしくは許可を持っている利用運送に関する変更届や報告書について、お話をします。意外な盲点なので、ぜひ参考にしてください。

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