利用運送の注意点  盲点!自社の登録・許可の中身をチェック!

●厳しい経済情勢のなか、経営統合や吸収合併などが盛んに行われています。

また人事異動の時期になると、大手企業の物流子会社などは代表者が毎年のように変わることも珍しくありません。

ましてや物流担当者が未来永劫、今の部署を担当することは少なく、特に「利用運送」に関わる内容については、引継ぎがされないことも多いです。

届け出関係なので通常は法務や総務が担当するものですが、背景がよく理解できていないので、放置されていることもあります。

●そのような状況の中で、盲点でもある「利用運送」に関わる届け出について、今一度整理し、物流担当者としてしっかりと把握しておきましょう。

もし人事異動で担当から外れる場合は、しっかりと引継ぎができるよう準備しましょう。

無登録・無許可での運営

●まずあり得ないことですが、ここからチェックしましょう。ちなみに

・第一種貨物利用運送事業を無登録で経営した場合の罰則

国土交通大臣から登録を受けずに第一種貨物利用運送事業を経営した場合は、1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金に処されるか、又はこれらを併科されます。

・第二種貨物利用運送事業を無許可で経営した場合の罰則

国土交通大臣の許可を受けずに第二種貨物利用運送事業を経営した場合は、3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金に処されるか、又はこれらを併科されます。

報告書の義務を怠った場合

筆者も経験がありますが、これは案外と忘れてしまっている場合が多いのでは?と思います。

貨物利用運送事業に係る定期報告について

•貨物利用運送事業の許可又は登録を受けた事業者は、
「事業概況報告書」及び「事業実績報告書」を毎年下記報告期限までに提出しなければなりません
(貨物利用運送事業報告規則第2条)。

報告期限
•事業概況報告書(毎事業年度に係るもの)・・・毎事業年度の経過後100日以内
•事業実績報告書(前年4月1日から3月31日までの期間に係るもの)・・・毎年7月10日

罰則
•百万円以下の罰金(貨物利用運送事業法第65条)

国土交通省HPから

なお、上記にあるように報告フォーマットは2種類あり、「貨物利用運送事業営業実績総括表」「貨物利用運送事業実績報告書」があります。前者は利用運送事業における収支に関わる報告、後者は取り扱い数量などの実績に関わる報告になります。

●これは罰則がありますから要注意です。もし今まで提出していない場合は、管轄の運輸局に状況を正直にお伝えし、可能であれば今年度、もしくは次年度からキッチリと提出する旨を伝えてください。これまでの経験ですと当然お叱りは受けますが、罰則になる事はありませんでした。

※あくまでも筆者の経験、エピソードですから、確証・保証はできません。自己判断のもと慎重に行動願います。

代表的な違反事項と処分について

●国土交通省のHPには第一種および第二種貨物利用運送における違反事項と処分の一覧が掲示されています。その中でも筆者が経験したり、業界関係者から知り得た情報から、特に多い違反事項をピックアップしました。

注意:過料(かりょう)とは国または地方公共団体が、行政上の軽い禁令を犯した者に科する制裁のための金銭罰のことを言い、前科はつきません。一方、罰金は刑罰ですか前科がつきます。

●筆者のこれまでの経験から言いますと、第一種の黄色でハイライトした項目は要注意です。本当によく忘れます。これは冒頭にも説明しましたように、人事異動だけでなく、事業の統廃合や吸収合併、事業承継などで、引継ぎがうまくいっていないからです。

この4月から新年度を迎える物流担当者も多いことだと思います。このタイミングで、今一度、自社の利用運送の中身をチェックしてみてはいかがでしょうか?

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