倉庫業務におけるRPAとは?その3(人員削減と雇用)

●RPAという考え方のもと、大型マテハンを導入など倉庫自動化を検討しているメーカーや小売および物流会社は多いが、業務の効率化にともない人員削減と雇用についても検討しなくてはならない。非常に重い問題ではあるが、この記事を読むことで方向性の一助になれば幸甚である。

[ボルティモア 2019年5月1日 ロイター] – 米アマゾン・ドット・コム(AMZN.O)は、物流倉庫を近く完全自動化する可能性を排除した。現在の技術では、ロボットなどが人間の能力に取って代わることはできないと説明した。

アマゾン・ロボティクス・フルフィルメントを統括するスコット・アンダーソン氏は、「技術は現段階でなお極めて限定的」とし、注文の処理作業を完全に自動化するには少なくともあと10年はかかるとの認識を示した。

※写真は記事と関係はありません。(2008年北米物流会社視察にて管理者が撮影)

●実際に米国アマゾンのコメントを見る限り、マテハンのテクノロジーの問題で全領域を自動化できないというコメントであるが、一方ではアマゾンの倉庫が各地における「雇用の創出場所」となっているといった背景があり、一気呵成に自動化ができないことを示唆している。

 実際にアメリカ全業界の中でも、アマゾンはウォルマートに続く雇用の場を創出している。2018年、ある米国小売業視察ツアーに参加したのだが、アマゾンの某施設を見学した際に現地ガイドからも実際にそのような説明を受けた。それを裏付けるのように、ある調査機関のデータが物語っている。

●さて私自身の経験だが、実際ある物流業務における手作業部分をRPA化するにあたって計画をしたことがあるが、効率化による省人化、もっと平たく言うと人員削減の効果が機械の投資回収の原資になると計画をして、現場からの猛反発を受けた。そこで働いている社員やアルバイトからは、自分たちの働き口を奪う本部の人間的な目で見られたことは確かである。実際にはその計画では、これまでの手作業を機械することで、そこで働いている人達には、もっと人間でないと出来ない付加価値のある作業をしてもらうつもりであった。

 しかし、その「付加価値」作業が、何処で何をするのかの具体性が乏しかったことも反発の原因だった。(実際にはRPA化プロジェクトが頓挫したため、従業員は依然、従来通りの作業をしている。)

 さてこの付加価値であるが、VAS(流通加工)的な作業系ものから、サービスやユーザビリティの向上、作業品質向上といったものまで定義は広い。次回はこれをバリューエンジニアリング(VE)の視点から見ていきたいと思う。

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