物流子会社とは?その3 (我々は日立物流になれるのか?)

●筆者は現在某大手百貨店の物流子会社に出向している。そしてグループにおける当社の存在する意味、価値を常に考えている。しかし、なかなか答えは見つからない・・・・。今回は、「我々は日立物流になれるのか?」と題して、物流子会社としてのあるべき姿を探っていきたい。

我々は日立物流になれるのか?

●お分かりだとは思うが、見出しの意味は、あくまでも「日立物流」が成功を遂げた物流子会社としての象徴的存在であるからこのような表現をしている。よって、これが「キューソー流通システム」でも、「ゼロ」でも、「富士物流」でも構わない。

要するに、株式比率や役員人事、顧客ポートフォリオの構成など、依然親会社の影響を受けていることは受けているが、独立した立派な物流会社としのプレゼンスを発揮していることができるかどうかがポイントであると考える。

つまり、物流会社としての特性・特徴であり、アイデンティティであり、もっと平たい言葉いうと、得意分野は何かという事である。その分野で「食べていける」だけのノウハウをもっているかという事である。

・日立物流・・・もともと家電や重電機器などの物流が得意分野

・キューソー・・・食品の温度帯管理が得意分野

・ゼロ・・・自動車の陸送が得意分野

・富士物流・・・電子部品の取り扱いが得意分野

では自分たちはどうなのか?(百貨店の物流)

筆者の会社の親は百貨店。「百貨」というだけあり、ゆりかごから墓場まで、すべての有形・無形のモノ・サービスを展開している。

よって、商品の取引先は優に1万数千社を越え、取り扱い品目は数十万品番ともいわれ、我々自身も正確に把握できていない。そして取引先は各社が三者三様の方法で商品を納品してくる。

こういった煩雑な納品は店舗周辺の交通渋滞と混乱を招くため、納品する配送会社を厳選する「指定納品代行制度」を取っている。指定した車両しか納品出来ない仕組みである。

また、物流的には食品と非食品で扱い方法が異なる。特に食品については、衛生管理上の規制もあり、設備や取り扱いが非常に難しい。

一方、非食品は常温なので扱いは難しくはないが、商品を特定できる管理番号であったり、JANコードをはじめとするソースマークコードがない場合がある。これは、メーカーがナショナルブランドでない、ファッション的に尖った中小のメーカーが多いからである。

LUXURYや美術品など、かなり特殊な扱いを必要とされることもある。中には目の飛び出るような金額の商品もある。

しかし、どのような状態であっても、管理番号を発番し、商品タグを発行し、一つ一つの商品に割り当てる」。(※実際は百貨店自身がやっていることは少なく、メーカーや中間の物流会社に委託することが多い)そして、一つ一つの商品を管理していくのである。

では自分たちはどうなのか?(贈答品:中元や歳暮)

最近は多少シュリンク気味ではあるが、まだまだ日本の生活習慣である中元や歳暮の取り扱いは多く、百貨店暖簾の柄がついたきれいな包装紙で「百貨店包装」して発送する。

最近はエコ包装というものもあるが、まだまだ百貨店包装をご要望されるお客様は多い。そしてこの梱包にはかなり熟練した技術が必要で、繁忙期などは熟練者が物流センターに数百人集まって、中元期、歳暮期にそれぞれ約2か月間作業をするのである。

上記はごくごく一部の内容ではあるが、百貨店物流は小売りの中でも際立って特殊性の高い物流なのである。そして我々はその特殊性の高い物流を実行しているのである。

写真はパリの百貨店「プランタン」

では再度聞くが、我々は日立物流になれるのか?

いくら特殊性の高い物流を手掛けることができたとしても、ニーズがなければ全く意味はない。また、ノウハウと技術を武器に外に打って出るだけの余力がなければならない。そして何より重要なのはマーケティング。物流会社としてどのように売り込んでいくのか?

数々の課題が残されている。

次回はこの点について触れていきたいと思う。

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