物流クイズ(頭の体操)その3

●今回は第1回目に紹介した、豪州の大手物流会社のロジスティクス担当部長との会話のなかで、実際に私も体験したクイズをもう一つご紹介したいと思います。

正直もうしあげて、私はこのクイズの答えには、あまり納得がいかないと云うか、それは少々乱暴だろうとツッコミを入れてしまったのですが、このクイズの意図を後で聞いて納得をしました。

 何はともあれ、先ずはレッツトライ!

【分析/ヒント】

DASは、写真のようにラックの各セルにデジタル表示があり、カウントダウン(もしくはアップ)して出荷商品が揃うとOKランプが点灯する仕組みす。ラックの代わりにゲート式の蓋をつけたタイプ(GAS)もあります。

この種まき作業を外資系大手EC通販では「リビン」と呼び、トータルピックで集品してきた商品を、再びビンつまりラックのセルに入れることを意味します。

ここで重要なのは、WMSなどの倉庫管理システムによって、セルの番地とオーダーを紐付けることです。DASやGASはシステム連動していますが、そうでない場合、つまりアナログで実施する場合、一般的にはあらかじめ各セルに出荷明細書などのシートを配置し、それをセルの番地紐付けるシステム上の所作を必要とします。

今回出題されたクイズはそのようなシステムを使用しない、介さないという条件なので、少々無理な設定であるとも言えます。

それでは、答えです。

 

●正解は、「商品が揃ったら、棚の向こう側へスライドさせる。奥へ押し出す。」です。おい、おい、とツッコミが聞こえてきそうですが、ある条件が揃えば、このやり方でも対応できなくはありません。

例えば、

・商品のアイテム数が極端に少ない場合で1個口の場合(マルチ/シングル)

・単品アイテムに限定した出荷バッチで作業をする場合(シングル/マルチ)

・単品商品で単数出荷の場合(シングル/シングル)いわゆる1個流し

※ただし、あらかじめオーダーシートなどの出荷に関する帳票をセルに配置し、マルチの場合は商品を入れる毎の確認作業は必要です。 また、「1個流し」の場合はわざわざスチールラックで運用することはありません。

【考察】

●さて、ここでなぜ豪州の物流会社部長がこのような質問を投げかけたのか?場を和ませるためのアイスブレイクという意味?私を試している?

いろいろと考えられますが、まず一つは、新興国などでECビジネスがこれからスタートするような時、当初から設備に投資がかけられない場合や、そもそも低コストでの運用を強いられることがあります。

そのような場合、従来のシステムに頼らず現場を構築する柔軟性が必要となります。

この豪州の物流会社は、東南アジアにおける新興国でのロジスティクスビジネスの拡大をまさに検討中されており、そういった背景からこのクイズが出題されたのだと思います。

物流担当の皆様が、もし同じ局面にさらされるようなことがありましたら、ぜひこのクイズのことを思い出していただけますと幸甚です。

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