●昨今の物流クライシスにより、「運賃の値上げ」に関して、委託先から前触れもなく、また当然のことく要請されるようになった。当社は足回りに関しては基本的にノンアセットで、大半が庸車である。
なので当社も御多分に漏れず、この直近2~3年における主要な経営課題は「運賃の値上げ」であり、経営会議などでは、3回の内、1回は毎週のように議題として挙がってくる。そして、値上げに対する交渉の経緯と結論の報告を受けるのだが、必ずどの説明も「20%の値上げ要請を受けたので、中を取って10%で決着をつけました。」とか、「X会社への委託費も15%の値上げで決着したので、それと同じ比率で交渉しました。」と、およそ合理的とは言えない交渉をしていた。
そこで今年度の経営目標として、当社のマネージャー陣(一般的には課長級)のすべてが、合理的価格交渉ができるようなる事を掲げた。
その取っ掛かりになったツールが下記の「運送原価シート」だ。
この「運送原価シート」にある各項目の数値を委託業者からヒヤリングし、これをもとに価格交渉のストーリー(作戦)を練る。
もちろん、そう簡単には教えてくれないので、日頃の業務委託業者との関係性が重要になってくる。しかし、相手との何気ない会話や実際の業務の中でもそういった情報は収集できる。
要はどのようにアンテナを張るかである。
※ここから先の具体的な運用については、次回の投稿に乞うご期待。
●理屈のない数字合わせの交渉ではなく、しっかりと理屈の通った合理的価格交渉することは重要だが、理屈でもって委託業者をねじ伏せ、単価を叩くことが目的ではない。
先方の値上げの理由や背景をしっかりと理解した上で、合理的妥当性のあるものは受け入れ、そうでないものについては受け入れない依頼主の姿勢を見せることが重要である。
これは、継続的な取り組みができるように、委託業者の最低限の利益は確保してあげながらも、企業としての努力も惜しまないように啓蒙し、常にフェアな関係を保つための方法であり、そうなることが目的である。
そして最終的には、依頼主は委託業者からみて「あなどれない」存在になることが、両者の関係を続けて行く上でとても重要である。